霊長類研究 Supplement
第35回日本霊長類学会大会
セッションID: HP06
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中高生ポスター発表
午睡"ウトウトタイム"をとることで作業効率が向上する
*東田 龍弥福島 滉大伊藤 出海小林 尚太郎近藤 玄崇
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抄録

ウトウトタイムは, BGMが流れる遮光した教室内で全校生徒が机にうつ伏せになって,昼食後15分(13:20~13:35)午睡をとる時間である。ウトウトタイムは,睡眠に満足していない,午後の授業で眠気を感じる生徒が多いという調査結果を受けて,2014年から本校で続けている取組である。午後の授業でのパフォーマンスを向上させるうえで,ウトウトタイムが有効であることを実証することをねらいとし,本研究では,午睡の効果の指標として連続加算テストの正答スコアに着目し,生活リズムの違いと連続加算テストの結果に関係があるかを検証することを目的とした。まず,日本語版朝型-夜型質問紙(MEQ)による生活リズムの調査を全校生徒対象に行った。その後,募集した実験協力者をMEQの結果に基づいて朝型,中間型,夜型に分け,3分間の連続加算テストを午睡直前(13:05),午睡直後(13:40),放課後(16:00)の3回行い,正答スコアを得た。実験協力者は実験期間中,睡眠日誌を記録して生活リズムを一定にし,介入群(午睡あり)と対照群(午睡なし)に分けるランダム化比較試験を行い,それぞれの正答スコアの平均値を得た。さらに,実験協力者を介入群と実験群で入れ替えるクロスオーバー試験を同様の方法で行った。日本語版朝型-夜型質問紙(MEQ)の結果(N=954,回収率81.6%),朝型14.5%,中間型74.5%,夜型11.0%であった。そして,実験協力者対象に実施した午睡前後の連続加算テストの正答スコアの平均値について,有意水準5%で両側検定のt検定を行ったところ,t (36) =2.61,p=.013であり午睡前後で有意差がみられた。特に,夜型で顕著な差が見られ,午睡後の正答スコアの向上が確認できた。夜型の生徒は,夜の活動時間が長く,学校の始業時刻が早いことから,十分な睡眠時間を確保できておらず,昼食後のパフォーマンスが低い状態であると考えられ,ウトウトタイムをとることによって連続加算テストの正答スコアが向上したと考えられる。

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© 2019 日本霊長類学会
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