霊長類研究 Supplement
第36回日本霊長類学会大会
セッションID: C11
会議情報

口頭発表
ケニア産中新世ホミノイドNacholapithecus kerioi 下腿骨の特徴予報
木村 賛菊池 泰弘清水 大輔高野 智辻川 寛荻原 直道中野 良彦石田 英實
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

北部ケニア・ナチョラで発掘された中新世化石ホミノイド・ナチョラピテクスNacholapithecus kerioi の下腿骨については、ほぼ全身骨格 (KNM BG 35250) の脛骨および腓骨 (Nakatsukasa et al. 2012)、および腓骨二片 (KNM BG 17809 および17810, Rose et al. 1996) が報告されている。大きな化石集団であるナチョラピテクスにはこれ以外にも下腿骨が見つかっている。これら未報告骨17 片の特徴を観察した予報をここに発表する。脛骨・腓骨ともに大きな個体からの骨と小さな個体からの骨とが同数程度存在する。これはKikuchi et al. (2018) の大腿骨解析でいうところの性差として考えられ、それぞれの推定体重も既発表と同程度である。左右の骨数もほぼ同数程度である。骨端線からわかる限り若年の骨数は成年骨数より少なく含まれている。脛骨腓骨とも骨体は弯曲が少なく、筋付着痕がかなり弱いようである。下腿並びに足部の筋活動があまり強くなかったのではないかと考えられる。脛骨下関節面は前縁後縁の長さがほぼ等しい矩形に近い、面は骨軸に対し直交に近い角度を持つ。中央稜が見られる。前縁前方への関節面張り出しが弱い。内外果ともに内外側への張り出しが弱く、果の関節面がかなり垂直に近い。これらの足関節の形態特徴はここが主に矢状方向運動をなし、内がえし/外がえし(inversion/eversion)や強度の背屈運動が少なかったことを思わせる。これらから見た下腿骨形態は現生大型類人猿とはやや異なる特徴を持ち、三次元移動よりは水平面な歩行を多用したものではないかと思われる。

著者関連情報
© 2020 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top