霊長類研究 Supplement
第36回日本霊長類学会大会
セッションID: P07
会議情報

ポスター発表
属間交雑の可能性があるアフリカ産霊長類2種の遺伝解析
上田 悠一朗本郷 峻Akomo-Okoue Etienne-François井上 英治
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

霊長類の種間交雑は、マカクやヒヒを中心に野生下でも確認されており、属間での交雑も報告されている。 ガボン共和国ムカラバ・ドゥドゥ国立公園において、マンドリル(Mandrillus sphinx)とシロエリマンガベイ(Cercocebus torquatus、以下マンガベイ)の交雑個体と思われる個体が自動撮影カメラで確認された。 本研究では、マンドリルの群れ、マンガベイの群れ、両種の混群が利用していた場所から、群れの移動直後に採取した糞56サンプルを用いて、遺伝解析を行った。核ゲノム上のCD4ψη-δ globin intergenic(以下Psi)の塩基配列と、α 1,3 GT(以下GT)内のマンドリル属内にある9塩基の欠失の有無をPCR で確認し、 35サンプルで、3領域すべての結果を得ることができた。Psiでは7ハプロタイプ、CD4では12ハプロタイプが検出され、登録配列も含むハプロタイプネットワークから、マンガベイタイプかマンドリルタイプかを推定した。マンドリルの群れ由来の3サンプルすべてがマンドリルタイプであったのに対し、マンガベイの群れ由来の18サンプルのうち16サンプルはマンガベイタイプで2サンプルはマンドリルタイプであった。 混群由来の15サンプルでは、1サンプルがマンガベイの、11サンプルがマンドリルのタイプであり、残り2サンプルは交雑由来のDNAであると推定された。糞由来のDNAであるため確証は難しいが、遺伝解析においても属間交雑が生じていることが示唆された。また、交雑個体の遺伝子型から、雑種第二代以降であると推定された。本研究では、ミトコンドリアDNAのシトクロムb領域の塩基配列が一部のサンプルで決定できなかったため、母系を推定できなかったが、今後、交雑が確認されたサンプルなどを詳細に解析することで、属間交雑についてより詳細に解明されることが期待できる。

著者関連情報
© 2020 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top