霊長類研究 Supplement
第36回日本霊長類学会大会
セッションID: P20
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ポスター発表
ニシローランドゴリラ(Gorilla gorilla gorilla)の浅指屈筋の筋束構成と支配神経パターンについて
江村 健児平崎 鋭矢荒川 高光
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抄録

我々はこれまで浅指屈筋の筋束構成や支配神経パターンについて調査し、浅指屈筋の筋束構成は霊長類種間で異なるが、筋内を含む支配神経パターンには一定の共通性があることを明らかにした(江村ら, 2017; Emura et al., 2020)。今回我々は、類人猿の浅指屈筋の進化の一端を明らかとするためニシローランドゴリラの浅指屈筋における筋束構成と支配神経パターンを調査した。ニシローランドゴリラ成体オス1 頭の左浅指屈筋を用いた。浅指屈筋の起始、停止、筋束構成、支配神経を肉眼的に観察し、スケッチとデジタル画像で記録したのち、支配神経とともに一括して摘出した。 その後、実体顕微鏡を用いて支配神経の筋内分布を追求し記録した。本研究は京都大学霊長類研究所共同利用・共同研究及び大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)を通じて行われた。浅指屈筋は第2指から第5指に停止腱を送った。各指にはそれぞれ独立した筋腹が停止腱を送ったが、近位部では互いに一部癒合していた。 浅指屈筋全体が主に内側上顆から起始したが、第3指への筋腹には橈骨から起始する筋束と鈎状突起から起始する筋束も合流した。第4指への筋腹と第5指への筋腹が最も浅層に並んで位置し、それらの深層に重なって第3指への筋腹、そのさらに深層に第2指への筋腹が位置した。第2指への筋腹は中間腱をもち、二腹筋の形態を呈した。全ての停止腱はそれぞれ内側外側に分かれて中節骨体に停止した。第2指の近位筋腹には正中神経近位からの枝が入り、遠位筋腹には正中神経遠位から分岐した短い枝が入った。近位で正中神経から分岐し第3指筋腹を支配した枝の一部が筋束を貫いて第4指筋腹に伸び、さらに筋内で第5指筋腹へ至った。 第2指への筋腹のみが二腹筋の形態を呈する筋束構成は他の霊長類における既存の報告とは異なるが、筋内を含む支配神経のパターンには他の霊長類での報告との共通性が認められた。

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© 2020 日本霊長類学会
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