霊長類研究 Supplement
第36回日本霊長類学会大会
セッションID: P24
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ポスター発表
勝山ニホンザル集団におけるオトナオスと1歳未満の子ザルの親和的な関わりの分析
中道 正之上野 将敬山田 一憲
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抄録

勝山ニホンザル集団において1990年から2020年までの30年間にアドリブ法で記録した中心部成体オスによる1歳未満の子ザルに対する抱き、運搬、または毛づくろいを伴う親和的な行動をmale-careとして分析した。合計21ペアのオス・子ザルペアを分析対象とした。当該期間に中心部オスであった31頭( 出自はすべて勝山集団)の中で13頭(42%)がmale-careを行っていた。male-careの対象となった子ザルの84%がメスであった。male-careのあった94%のペアで、オスと子ザルは異なる母系血縁系に属しており、子ザルの母ザルの89%はメスの中で低順位であった。malecareの記録されたオスと子ザルのペアの71%において、male-careが最初に確認されたのが1月から3月の交尾期の終盤期から出産期直前の時期であった。 male-careの最後の記録が生後2年目の1月から8月であったのが16ぺア(76%) であり、他の5ペアでは子ザルが2歳になってからも続いていた。 21ペアのうちの12ペアにおいて、子ザルの母ザルとオスとの間に毛づくろいがあったかどうかを調べることができた。male-careの最初の記録の前後6カ月間にオスと子ザルの母ザルの間で毛づくろいが一度も記録されなかったのが4 ペア、両方の時期で毛づくろいのあったのが5 ペアあった。残りの3 ペアは、male-care 開始時期の前後どちらかの6 カ月間に毛づくろいが記録されていた。 母ザルが失踪した3日後に、生後9カ月のメスの子ザルへのmale-careが初めて観察され、少なくとも1年半以上male-careが持続し、さらにこのメスがオトナになってから出産したメスの子ザルに同じオスがmale-careを開始したという事例もあった。これらの結果をもとに、オスと子ザルのそれぞれにおけるmale-careの意味を考察した。

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