霊長類研究 Supplement
第36回日本霊長類学会大会
セッションID: P32
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ポスター発表
マカクにおけるオスとコドモの3者交渉:バーバリーマカク,チベットモンキー,アッサムモンキーの違い
小川 秀司
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抄録

バーバリーマカク(Macaca sylvanus)はtriadic male-infant interactionを非敵対的場面で頻繁に行い,その際オトナオス( 以下単にオス) は2頭が一緒にコドモに触ったり,オス間やオスとコドモの間ではグルーミングがしばしば行われる。この交渉はバーバリーマカクではagonistic bufferingとも呼ばれてきたが,チベットモンキー(M. thibetana),ヒガシアッサムモンキー(M. assamensis assamensis),あるいはベニガオザル(M. arctoides)のbridging behaviorと相同な行動も含まれているのかは不確かだった。そこでドイツ南部のAffenberg Salemに移殖されたバーバリーマカクを2019年8月24~28日に視察した。チベットモンキーやアッサムモンキーはコドモを必ず腹側に抱いて運ぶのに対し,バーバリーマカクはコドモを背中に乗せて運ぶ時もある。そのためバーバリーマカクでは,オスがコドモを背中に乗せて他のオスに近づいた時には,コドモを差し出すのに自分の背中側を相手に向けることになる。その際バーバリーマカクでは,背中にコドモを乗せたオスに他のオスがコドモを挟んで抱きついたり,肩付近にコドモを乗せたオスの頭越しに他のオスがコドモに触ったりすることもあった。しかし,オスがコドモを腹側に抱いて他のオスに近づいた時や,コドモを腹側に抱いているオスに他のオスが近づいた時には,チベットモンキーやヒガシアッサムモンキーのbridging behaviorと同じように,バーバリーマカクのオスは向かい合って一緒にコドモを抱き上げる体勢になることが多かった。なお,バーバリーマカクのオスはinfant handlingを頻繁に行い,その際オスはコドモのペニスを触ったり舐めたりすることもあった。

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