主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 36
開催地: オンライン開催
開催日: 2020/12/04 - 2020/12/06
コロブス類は霊長類で唯一、複数の室から成る胃(複胃)を有し、前胃に共生する微生物による前胃発酵により、難消化性の葉を分解する。この消化管の特殊化は、果実や昆虫などに比べてより一様に分布する葉を食餌とすることで、餌を巡る競合を回避するための適応進化だと考察されてきた。よって、コロブス類の行動生態の解明において、複胃の消化生理学的な知見を深めることは重要である。発表者らによって、コロブス類における反すう行動の報告(Matsuda et al. 2011: Biol Lett)、休息姿勢と消化機構の関係性(Matsuda et al. 2017: Physiol Biochem Zool)、そして消化管内の食物滞留時間(Matsuda et al. 2019: Physiol Behav)や微生物叢(Hayakawa et al. 2018: Environ Microbiol Rep)などが明らかになってきた。しかし、コロブス類の消化管の解剖学的な知見は90年代からほとんど進捗がない。本研究では、日本モンキーセンターにホルマリン保存されている、コロブス類9種(Colobus guereza、Piliocolobus badius、Presbytes melalophos、Semnopithecus entellus、Trachypithecus cristatus、T. francoisi、T. pileatus、T. vetulus、Nasalis larvatus)の消化管(小腸、盲腸、結腸/直腸)サイズを計測し、その解剖学的な特徴を検討した。新生児からオトナまでの合計252個体の消化管の計測を実施した結果、消化管の各部位の中で複胃においてのみ幼少期の急激な発達が見られるなど、いくつかの興味深い成果が得られたので発表する。