霊長類研究 Supplement
第36回日本霊長類学会大会
セッションID: P31
会議情報

ポスター発表
コロブス類の消化管の解剖学的研究
松田 一希高野 智新宅 勇太Clauss Marcus
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

コロブス類は霊長類で唯一、複数の室から成る胃(複胃)を有し、前胃に共生する微生物による前胃発酵により、難消化性の葉を分解する。この消化管の特殊化は、果実や昆虫などに比べてより一様に分布する葉を食餌とすることで、餌を巡る競合を回避するための適応進化だと考察されてきた。よって、コロブス類の行動生態の解明において、複胃の消化生理学的な知見を深めることは重要である。発表者らによって、コロブス類における反すう行動の報告(Matsuda et al. 2011: Biol Lett)、休息姿勢と消化機構の関係性(Matsuda et al. 2017: Physiol Biochem Zool)、そして消化管内の食物滞留時間(Matsuda et al. 2019: Physiol Behav)や微生物叢(Hayakawa et al. 2018: Environ Microbiol Rep)などが明らかになってきた。しかし、コロブス類の消化管の解剖学的な知見は90年代からほとんど進捗がない。本研究では、日本モンキーセンターにホルマリン保存されている、コロブス類9種(Colobus guerezaPiliocolobus badiusPresbytes melalophosSemnopithecus entellusTrachypithecus cristatusT. francoisiT. pileatusT. vetulusNasalis larvatus)の消化管(小腸、盲腸、結腸/直腸)サイズを計測し、その解剖学的な特徴を検討した。新生児からオトナまでの合計252個体の消化管の計測を実施した結果、消化管の各部位の中で複胃においてのみ幼少期の急激な発達が見られるなど、いくつかの興味深い成果が得られたので発表する。

著者関連情報
© 2020 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top