霊長類研究 Supplement
第36回日本霊長類学会大会
セッションID: P35
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ポスター発表
リベリア共和国パラにおける野生チンパンジーの肉食行動
大橋 岳
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抄録

野生チンパンジーでは集団によって行動パターンが異なることが道具使用や社会行動などで確認されている。生態学的環境の違いだけで説明できないものもあり、異なる社会環境で技術や知識を獲得したことに由来する文化的行動として考察されてきた。今回、60キロメートル程度しか離れていない2つのチンパンジーの集団間で、彼らが捕獲した動物に対して異なる反応を示した事例を確認した。野生チンパンジーの長期継続調査地であるギニア共和国ボッソウから広域調査をリベリア共和国へ2006年から展開し2012年からリベリア共和国パラを拠点にしてきた。パラでは地域住民がチンパンジーを狩猟対象としないため過度に観察者を恐れないが人付けはできておらず、その集団構成は正確に把握できていない。パラの森は保護区ではなく、森の多くは二次林や耕作放棄地で構成されている。 2020年2月21日、パラでチンパンジーを発見したとき、オスはすでにニシキノボリハイラックス1個体を手にしていた。ハイラックスの腹部には傷があり一部内臓がでているようだったが、まだ損傷は少なく、捕らえられたばかりのようだった。チンパンジーは人に慣れていないため観察者から見えにくい位置にいることが多く、行動の記録は断片的だが、複数個体によって肉食する様子が観察された。地面への落下物から判断すると、チンパンジーに捕まったハイラックスは2個体でどちらも全長約40センチメートルだった。いずれも頭部を除いてほとんどが捕食されていた。過去に、ギニア共和国ボッソウではチンパンジーがニシキノボリハイラックスを捕らえたものの食べることなく捨てた事例が確認されている。ボッソウとパラではアブラヤシの種子割り行動など同じ道具使用のレパートリーがみられるが、今回、同種の動物に対して異なる反応を示した。どの動物を食べ物とみなすか、過ごしてきた社会環境の違いが、彼らの採食レパートリーに影響したのかもしれない。

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© 2020 日本霊長類学会
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