霊長類研究 Supplement
第37回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
飼育コモンマーモセットの歯垢から分離された歯周病関連菌の病原性と薬剤耐性評価
土田 さやか牛田 一成三輪 美樹中村 克樹
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p. 49

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抄録

動物を健康に飼育するためには疾病の予防が第一であるが, 実際に疾病に罹患した場合には適切な治療を行い再発防止に努める必要がある。本研究で対象とするコモンマーモセット(Callithrix jacchus)は歯肉炎や歯周炎を好発することが知られている。口腔疾患はしばしば外科治療を必要とするが,すべて麻酔下で実施する必要があるため, 複数回集中して治療することができない。そのため, 一度罹患すると完治や再発防止は難しいとされる。本研究では, 飼育個体の歯垢や歯石, 歯肉炎症部位から歯周病関連細菌を分離し, その菌種構成と, 歯周病悪化の大きな原因となる短鎖脂肪酸(とくに酪酸)産生能, および薬剤耐性の評価を行なった。京都大学霊長類研究所で飼育されている5個体の歯科検診時に歯垢, 歯石, 歯肉炎症部位スワブを採取し, 直ちにカナマイシン含有BHI寒天培地に塗沫後, 36℃・嫌気条件下で72時間培養を行った。 約100分離株の16S rRNA遺伝子を用いた系統解析により, 検査した個体の口腔には, 歯周病に関連すると考えられる8細菌種 (Fusobacterium nucleatum subsp. polymorphum, Fusobacterium nucleatum subsp. vincentii, Streptococcus mitis, Streptococcus koreensis, Actinomyces naeslundii, Actinomyces viscosus, Aggregatibacter aphrophilus,Campylobacter showae) が存在することが明らかになった。これら歯周病原因菌のうち特にF. nucleatum subsp. polymorphumは, 高濃度の酪酸を産生する株が含まれており, 飼育個体の歯周病を悪化させる大きな原因になっていると推測された。本発表では, これら分離株の歯周病態の悪化に関わる短鎖脂肪酸産生能を評価し, 治療時に有効である薬剤選抜のための薬剤耐性についても議論する。加えて, 薬剤耐性菌を生み出さないための抗生物質以外の抗菌物質(次亜塩素酸水など)の効果も検討する。

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© 2021 日本霊長類学会
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