霊長類研究 Supplement
第37回日本霊長類学会大会
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中高生発表
午睡“ウトウトタイム”が及ぼすストレスマーカーを用いたストレス変化の関係性
小﨑 友裕荒尾 想太江副 愁人
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p. 54

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抄録

ウトウトタイムは,カーテンで遮光した教室の各自の机でうつ伏せの姿勢になり,昼食後の10分間午睡をとる,2014年度から全校生徒が取り組んでいる日課表に位置付けられた時間である。睡眠不足の生徒や授業中の眠気を生じる生徒だけでなく,午後の授業や部活動に臨むうえでウトウトタイムが有効であることを実証するために,本研究では,午睡がストレスを軽減することを実証することを目的にする。まず,個人の睡眠習慣を把握するために,高校2年40人を対象に“位相”,“質”,“量”の3点を“良”,“注意”,“警戒”の3段階で評価する3次元型睡眠尺度(3 Dimensional Sleep Scale; 3DSS)を行う。睡眠習慣の異なる生徒を抽出し,被験者として実験期間中,睡眠日誌を記録して生活リズムに違いが生じないように協力してもらう。ストレスマーカーとして唾液アミラーゼに着目し,唾液アミラーゼモニター(ニプロ株式会社)を用い,介入あり(午睡あり)と介入なし(午睡なし)のそれぞれ5日間ずつ介入前後の唾液アミラーゼ活性(KIU/L)の平均値を得る単群試験を行う。 3DSSを高校2年40人対象に実施した結果,“位相”,“質”,“量”それぞれで個人の睡眠習慣を把握した。特に,3DSSの“量”に着目をし,「注意」を示した被験者において,介入前後の唾液アミラーゼ活性の平均値を有意水準5%で両側検定のt検定を行った結果,介入なし(午睡なし)では有意な変化が示されず,介入あり(午睡あり)では午睡後に有意な減少が示された。一方,「良」を示した被験者においては,午睡なしでは有意な変化が示されず,午睡ありでは午睡後に有意な増加が示された。本研究の結果から,睡眠習慣で睡眠量が不足している生徒は昼食後のストレスが高く,ウトウトタイムによってストレスを軽減することができると考えられる。今後は,3DSSの“位相”,“質”,“量”の3点とウトウトタイムによるストレスの変化の関係性を明らかにしていくことを展望としている。

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