主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 37
開催地: オンライン開催
開催日: 2021/07/16 - 2021/07/18
p. 56
公益財団法人日本モンキーセンターの「リスザルの島」は広さ1500 ㎡,シイ・カシ類などの常緑高木の森でボリビアリスザルが放飼されている。本研究では,「リスザルに適した環境を探ること」を目的とした。リスザルは本来中南米の熱帯雨林に生息しているため, 「気温が低いほど温度の高い日向にいる。」「太陽のある方角にいる。」また,太陽の位置が季節により変化することから,「リスザルのいる方角が季節により変化する。」と仮説を立てた。2020年9月~11月(以下秋と記す)に6 日間,2020年12月~2021年1月(以下冬と記す)に2日間,2021年3月~4月(以下春と記す)に2日間,計39時間の観察を実施した(5月以降継続中)。調査方法は,島を方位で8区間に分け,15分毎瞬間記録で,各区間の頭数,日向・日陰の頭数を記録し,同時に,日向と日陰で木板のデッキ・葉・地面の表面温度,気温を計測した。結果,放飼されている頭数に占める日向にいる頭数の割合(以下「日向頭数割合」という)は,秋が22%,冬が14%,春が35%。日陰にいる頭数の割合は秋,冬,春のいずれも35%であった。日向・日陰の気温の平均値は,秋が24.5℃・22.7℃,冬が8.1℃・5.8℃,春が19.6℃・15.9℃で,いずれも日向の気温と日陰の気温の間に1.8℃以上の差があった。気温(日向)と日向頭数割合の相関係数は,秋は-0.490,春は-0.277であった。冬は日向がないことが多かったので相関は不明である。秋には日向の気温と日向頭数割合に弱い負の相関があったが,春は相関がなく,秋の日向の平均気温(24.5℃)が春の日向の平均気温(19.6℃)より高かったことから,日向の平均気温が約20℃以上の日は,気温が下がるほど日向を利用することがわかった。また,方角について,放飼されている頭数に占める前述の各区間で目視された頭数の割合を比較したところ,秋, 冬, 春のいずれの季節も東~南~西にいることが多かった。ただし,冬は西北~北~北東の利用がやや増えた。顕著な季節変化はなかった。