主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 37
開催地: オンライン開催
開催日: 2021/07/16 - 2021/07/18
p. 55-56
昨年、我々は、ギニア共和国ボッソウにおけるチンパンジーのナッツ割り行動と、現代日本のヒトの子どもを対象とした実験結果との比較を行った。研究を通じ、ヒトとチンパンジーの姿勢の違いや親の関与の違いなどに関し興味深いデータを得たが、「靴を脱がせたら姿勢が変わるかもしれない」「姿勢の違いには文化的差異を考慮する必要がある」「比較実験を行うならば条件を同じにする必要がある」など、発表後に有益な指摘を複数受けた。動画視聴によるチンパンジーの行動分析には限界があり、さらにコロナ禍における制限も重なって、その後十分な研究活動を行うことはできなかったが、ヒトの子どもを対象とした実験を再度行うことによって、様々な知見を得ることができた。昨年の人の子ども対象の実験では、割りやすいように火であぶったクルミを使用したが、今回、割りにくい生のクルミをあえて使用してみたところ、我々の予想に反し、黙々と粘り強くクルミを割る子どもの姿が見られた。ナッツ割りを通じ、子どもの行動について考える貴重な機会を得たと思う。 甚だ不十分ではあるが、研究活動の中間報告を発表したい。