霊長類研究 Supplement
第39回日本霊長類学会大会
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口頭発表
嵐山ニホンザルメスの分裂前後を含む優劣交渉の変遷と“川村の法則”との整合性
鈴木 久代ハフマン マイケル中道 正之高畑 由起夫
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p. 29-30

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抄録

嵐山B群は、1986年にE・F群に分裂した。本報告では1983年と1988年のB・E・F群のメス間の優劣交渉をもとに、1966・1976年の順位とも照合し、分裂前後における母系血縁系間の順位の変化を調べた。また、血縁メス間で“川村の法則”(Kawamura, 1965)との整合性を比較した。まず、母系血縁系間の順位について、E群とF群で違いが認められた。E群はB群の上位血縁系のメスが多く、分裂後も順位はあまり変動しなかった。F群はB群の中・下位血縁系のメスからなるが、上位オスと特異的近接関係(PPR)を形成したり、交尾関係にあったりしたメスが多く、血縁系間の順位は大きく変化した。一方、血縁メス間では分裂前の1983年と分裂後の1988年とも、母親の高齢化や上位オスとの親和的関係等で川村の法則からの逸脱例が認められた。とくにB群で最優位だったKojiwaの血縁系では、1966~79年に長女による母親との順位の逆転(αステータスの獲得)が3世代にわたって起きたため、1983年には川村の法則から大きく逸脱していた。一方1988年には1~3親等で、川村の法則に従う傾向が認められた。逆転等でいったん順位が変動した後、その子孫の順位は川村の法則によって再編成されていることが示唆された。

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