霊長類研究 Supplement
第40回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
新潟県妙高市笹ヶ峰地域における積雪と植生の変動、人類の経済活動とニホンザル越冬のニッチの歴史的形成について
杉山 茂赤見 理恵
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 81

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抄録
本発表は少雪化の傾向にある豪雪地帯における、草地の森林化と人の活動の変容、そしてニホンザルの活動との関連について考察する。対象となるニホンザルの群れは、2002年8月に初確認し、2019年3月に積雪期の活動が初めて確認された。対象地域は、第37回日本霊長類学会大会(2021年7月)における発表と同じ新潟県妙高市の標高約1,300mの笹ヶ峰地域である。降雪量は、1888年からある新潟県高田の測候所などのデータから、1980年代前半を最後に「豪雪」の継続性が絶えていることがうかがわれる。笹ヶ峰地域の積雪深の記録は、未入手の雪氷防災研究センターのデータを検討したい。笹ヶ峰地域の森林化は、1975年に放牧域が囲い柵で約100ヘクタールに限定されてから急速に進んだ。19世紀初頭、木地師集団による役畜を使った椀材の伐採と畑作で草地形成が始まった。19世紀後半の約50年間に通年の営農活動でその基礎が作られ、1903年に開設された牧場は、数百頭の牛馬による自由放牧で関川支流や三田原山中腹の比較的平坦な山域にも半草地が拡大した。人の活動は19世紀以降の長野県小谷などと杉野沢を結ぶ商業活動の活発化、登山・レジャーブーム、炭焼きや20世紀前半の関川右岸の製材所活動があった。草地に国民休暇村キャンプ場も開設され、人と牛馬との区分のない活動で草地の拡大/維持が続いた。しかし、家畜と人間との活発な活動域が1970年代後半を境に明確に分断された。放牧区域外ではパイオニア種の進入、ブナなど堅果樹木や蔓植物、林床の低木類二次林の再生で森林化が急速に進んだ。少雪でも雪原であったところに低木類の冬芽も顔を出し、パイオニア種の樹木や原生の再生林での採餌が可能になった。では越冬するのが観察されるようになったニホンザルの群れは、どこからきて当地に越冬を含む活動のニッチを見いだしたのか、観察と糞の採集・分析を続ける。
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