霊長類研究 Supplement
第41回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
広鼻猿前腕固有伸筋とその支配神経の形態学的特徴
鈴木 莉琴姉帯 沙織姉帯 飛高小島 龍平平崎 鋭矢時田 幸之輔
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 100

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抄録
総指伸筋は前腕浅層の伸筋で第2指から第5指に停止腱を持つ。霊長類では総指伸筋の深層にもう一層、各指の固有伸筋が存在する。ヒトでは長母指伸筋、示指伸筋が固有伸筋に相当し、第3, 4, 5指の固有伸筋は欠損する。アカゲザルでは固有伸筋は第3指まで広がる(Hartman & Straus, 1969)。また, これらの固有伸筋の遺残としてヒトの示指伸筋は停止腱の破格が多いとされている(小杉, 2002)。本研究では, 霊長類の固有伸筋の系統発生を考察するため, 報告の少ない広鼻猿の固有伸筋を調査した。リスザル1体2側, フサオマキザル1体1側, アカテタマリン1体2側を用い, 総指伸筋深層の固有伸筋の形態と支配神経を観察した。総指伸筋深層の固有伸筋にはヒトと異なる形態が見られた。リスザルでは3つの固有伸筋が観察された。1つ目は第1, 2指へ, 2つ目は第3指へ, 3つ目は第4, 5指へ停止していた。フサオマキザルでは2つの固有伸筋が観察された。1つ目は第1, 2指へ, 2つ目は第2, 3指へ停止していた。アカテタマリンでは2つの固有伸筋が観察された。1つ目は第1, 2指へ, 2つ目は第4, 5指へ停止していた。3種ともこれらの固有伸筋と同じ層には長母指外転筋が独立した筋として観察された。また, 3種共にこれらの固有伸筋には橈骨神経深枝が分布していた。橈骨神経深枝は, 回外筋に枝を出し, 貫いた後に固有伸筋に分布していた。フサオマキザルはアカゲザルと共通した固有伸筋の停止腱を持つことから、霊長類の固有伸筋の基本形は第1, 2, 3指に停止する形態であることが示唆される。リスザルやアカテタマリンでは第4, 5指への停止腱があることから、これらの種において固有伸筋の停止腱が尺側へと広がる傾向にあると考えられる。本研究はEHUB共同利用共同研究プログラムによって実施された。
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