2003 年 50 巻 p. 321-325
東海・東南海・南海地震津波によって瀬戸内海沿岸でも津波災害の発生が示唆されている.瀬戸内海における津波高や津波到達時間, 流速特性には海峡と諸島群が大きく影響しており, この影響を, 津波の伝播状況, 個々の海域における振動特性, 海峡部における流入・流出量の変化から考察した.その結果, 伊予灘, 広島湾, 安芸灘, 燧灘での津波来襲特性には諸島群が大きく影響し, 津波防波堤の役割をしていること, 播磨灘は固有振動周期と津波周期との共振による影響が顕著であること, 諸島群周辺の狭窄水路では1m/s以上の流速が発生し, 係留施設等は注意を要すること, 瀬戸内海は諸島群と海峡の影響により津波が一度進入すると出にくく, 長時間にわたって水位の高い状態が継続することを示した.