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英検、TOEICなどの英語の資格試験のスコアは、近年特に就職、進学対策として需要の高まりを見せているが、視覚障害を持つ人々にとって公平な受験機会を得られているとは言い難い。
現状では、英検について視覚障害者特別措置が明文化されているが、TOEICでは視覚障害者特別措置が不十分であり、意欲のある学生であっても、公開テストにおいては、拡大文字受験体制が不十分であること、点字受験が不可能であること、時間延長措置が認められていないことなどの理由で、受験困難な状況である。また、IPテスト(団体特別受験制度)においては、拡大文字受験体制が十分とはいえないが、点字受験が可能であること、1.5/2倍の時間延長措置が認められていることなど、公開テストに比較すると受験しやすくなった。しかし1番の問題は、IPテストは学籍を有する者以外受験資格がないため、学校を卒業すると、公開テストの壁に突き当たることである。
本発表では、TOEICを受験する際に視覚障害者が抱える困難と、今回、発表者がそれらをどのように対処しながら勤務校初のTOEIC団体特別受験実施に至ったかを報告する。そして、まだ視覚障害者にとっては十分に門戸が開かれていないTOEICの現状を提示し、解決すべき課題を考察して、今後、視覚障害者が本来得られるべき公平な受験機会を得られることをめざす一提言とする。