抄録
有明海湾奥部における底質環境形成要因を調べるため高密度な底質調査を実施した. 筑後川から有明海に流出した土砂は距離によって分級されている状況が明らかになった. 河川から出水時に供給される粗粒シルト径の懸濁物質は湾中央に陸域起源の有機物とともに堆積域を形成していた. この領域では有明海湾奥部で最も有機炭素の含有量が高く, 貧酸素水塊も観察されたことから, 好気的分解も抑制されているとみられた. 有明海における懸濁態有機物のほとんどは16μm以下の細粒懸濁物質に含有されており, 陸域から流出した細粒シルトおよび粘土粒子は次第に海域由来の有機物を多く含むようになり湾奥西部まで広範囲に運ばれると考えられた.