抄録
近年比較的大型のスクリーンに対応可能なカメラを用いた画像処理方式のタッチセンシングシステムが開発されている。この画像処理方式のタッチセンシングシステムは,デジタルサイネージ,テレビの天気予報でよく見られる大型スクリーンのタッチ認識などに用いられている。しかしながら,画像処理方式の研究の多くは,三角測量の原理を用いて指の位置を検出するため,複数のカメラを用いている。そのため,(1)カメラ間に一定の距離が必要で,設置可能な範囲が限定される(2)複数台のカメラの光軸正確に調整しなければならないため,設置が大変であり,その調整も容易に行うことは出来ない等の問題がある。本研究では,三角測量ではなく,指先とスクリーンに映る反射像を用いた新しい画像処理方式のタッチセンシングシステムを提案し, 動的背景差分法と肌色フィルタ両方を組み合わせた評価実験を行った。その結果,指先及びスクリーンに映る反射像をきれいに抽出することができた。