抄録
視覚障碍者が衛生的かつ安全に情報を取得するためには,接触を必要としない新しい点字提示手法の開発が求められる。従来の点字デバイスは機械的可動部による故障リスクや設置制約が課題であったが,流体噴射を用いることで,これらの問題を解決できる可能性がある。本研究では,ビルジポンプを用いた流体噴射型点字デバイスを試作し,各噴射口の入力・出力水圧特性を解析した。ひずみゲージ式圧力変換器およびベルヌーイの定理を用いて,6つの噴射口における入力水圧と出力水圧を測定した結果,入力水圧は下段噴射口で高く,上段では低い傾向が認められた。一方,出力水圧は逆に上段が高く,下段が低い結果となった。さらに,ノンパラメトリック検定により,入出力水圧いずれも噴射口間で有意差が確認され(p‹.05),またWelchのt検定においても,上下段間で有意差が認められた(p‹.001)。これらの結果は,入力水圧には流路配置や局所損失,出力水圧には噴射口設置高さ差が主因となることを示唆する。本知見は,今後,圧力分布の均一化や配管設計の最適化を通じ,視覚障碍者の点字判読精度向上と装置実用化の加速に寄与すると期待される。