抄録
本研究では, 流動性ショックに直面した独立採算型PFI事業の効率的な再生方法について考察する. 多くのインフラ整備に関わるPFI事業では, 事業が財務的に破綻をきたしても, インフラがもたらす外部経済便益の観点から事業の継続が望ましい場合が少なくない. PFI事業の効率的な再生を実現する手段として, 契約保証金及び補助金政策が存在する. その際, 外部経済性にリスクが存在しない場合, 契約保証金制度により, 事業の効率的な再生を実現することが可能である. しかし, 外部経済便益にリスクが存在する場合, 契約時点に設定した保証金と外部経済便益がかい離するために, 事業の効率的な継続もしくは清算を実現できない可能性があることを指摘する. この場合, 事前に設定する保証金と事後に確定する補助金を組み合わせたハイブリッド政策を導入することにより, 事業再生の効率性を改善できる可能性があることを示す.