抄録
わが国では「国土の均衡ある発展」を目的に、戦後、様々な地方活性化策 (1. 中央官庁政策活用型、2. 外部経済導入型、3. 内部経済活性化型) が展開されたが、それが有効に作動した地方と、作動しなかった地方が画然と存在する。高知県等の首都圏・大都市圏から離れた国土周辺県 (秋田、青森、徳島、鹿児島、和歌山、島根、岩手、長崎、宮崎、等) が「取り残された地方」である。
「取り残された地方」の自立化には、地方産業活性化モデルが不可欠だが、これまで取られてきた諸施策が旨く作動しなかった点、財政改革進展の中で「取り残された地方」の自立化が強く求められている点を踏まえ、実効性ある新たな地方産業活性化モデルを創造する意義は大きい。
本論文は、「取り残された地方」で経済自立化が旨く行かなかった理由を究明し、その活性化モデルを提唱する。その上で、「取り残された地方」の典型である高知県を取り上げ、活性化モデルを具体的に適用し、経営資源として木材資源に着目して、「取り残された地方」の経済自立化の過程を実証的に考察する。
尚、本文中の図表は、主に、該当する記述の論理構造を一覧する便宜の為に付した。