舗装を合理的に修繕するための課題の1つに適切な修繕範囲の設定がある. 舗装は箇所毎に劣化速度が異なるため, 修繕費用のみに着目すると劣化箇所を最適なタイミングでその都度修繕する個別施工が有利となる. しかし実際は, 交通規制を伴う渋滞損失等を抑えるためにある範囲を同時に修繕する同時施工が行われる. 今回, 阪神高速道路を対象に, 個別施工と同時施工を実施したときに発生するトータル費用を比較し, 同時施工の有効性を検証した. その結果, トータル費用に占める割合は渋滞損失費用が圧倒的に多く, 渋滞が発生する箇所では同時施工, 発生しない箇所では個別施工が有利となることが判明した. また, この結果を踏まえて, 阪神高速道路全線を同時施工区間と個別施工区間に分け, 同時施工によるコスト縮減効果を調べたところ, 同時施工によるコスト縮減効果は年間375億円に達する結果となった.