建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
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物部川流域の人々の川へのまなざしの変遷に関する基礎的考察
小畑 博貴渡邊 法美
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2008 年 15 巻 p. 441-452

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抄録

高知県を流れる物部川は、鮎釣りでも全国的に有名な清流であった。しかし、2006年には鮎の漁獲量は事実上ゼロとなるなど、河川環境問題は深刻化しつつある。鮎は、高知県の豊かな自然の象徴であるとともに、流域が水危機に直面しつつあることに警鐘を鳴らしている存在であるといえる。筆者らは、今後とも流域が流域らしくあり続けるためには、鮎を守り、川を守る必要があると考えている。これまで、物部川漁業協同組合が中心となって流域や行政をも巻きこんだ「物部川方式」と呼ばれる様々な環境保全活動が展開されてきた。しかし近年、物部川流域には、人々の懸命な努力をあざ笑うように、次々と「痛み」が発生し深刻化している。したがって今、さらなる「現状打破」への手がかりを掴むことが求められている。そのためには、「流域の人々の関心はそもそも何故低いのか。関心が高い時代は存在したのか。その場合、それはいつから低下したのか」を探り、明らかにすることが有益であると考えられる。本稿は、まず、流域の人々と川との関わりが大きく変化したと思われる1950年頃から1970年頃に焦点を当て、聞き取り調査を中心にして、人々の川へのまなざしの変遷の一端を明らかにすることを試みる。次に、その調査結果に基づいて、問題解決の新しい手がかりを提案することを目的とする。

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