2004年紀伊半島沖地震にともない発生した津波は, 高知県室戸岬沖約100kmに設置してある高精度海底津波計でも観測することに成功した. 本稿では, この津波の沖合観測の報告と数値シミュレーションとの比較・検討を行う. 海底津波計の直近にある室戸岬検潮所よりもおよそ20分前に観測された沖合の津波の振幅は4cm (前震) と7cm (本震) 相当であり, 検潮所で観測された津波の1/10程度の大きさであった. リアルタイムで津波の沖合観測を行うためには地震動によるノイズを除去することが不可欠で, 簡便な60sのリアルタム移動平均を施せば沿岸到達の20分前には津波の検知が実現可能であることを示した.