2000 年 28 巻 p. 321-331
徳島県下を流れる2級河川勝浦川において, 発電取水のためにダム下流に生じた減水区間における魚類の生息状況と環境との関連を, 多様性の観点から探るための調査を実施した.その結果, 調査地域内において17種が確認された.地点ごとに出現魚種とその出現頻度が異なり, 減水区間では種多様度が低い傾向がみられた.また, 各地点を構成する環境を, 水理特性を表す変数を中心とした17個の変数によって評価したところ, 6つのタイプに分類できた.減水区間において種多様度が低いのは, 環境タイプ頻度から求めた環境多様度が低いためだけでなく, 種多様度の低いトロ的な環境タイプが優占しているためであることが示唆された.