抄録
本研究は、琵琶湖におけるヨシと人との関係の歴史的変遷を文献・ヒアリングによって調査研究を行ったものである。かつて琵琶湖のヨシと人とのかかわりは生活と密着していたが、開発や生活様式の変化に伴い人々のヨシに対する関心は薄くなり、かかわりはほとんどなくなった。ところが現在、ヨシは水質浄化作用など環境的価値が見直され、ヨシ保全に向けた取り組みとして行政や地域住民が主体となってヨシ刈りを行い、刈ったヨシを松明にしてイベントを行っている。本研究では、ヨシに関して専門的に知識を有する生態学者と生産業都の意見からヨシの維持管理に関して重視すべき点を明らかにして、今後の市民参画型のヨシ刈り・ヨシ松明祭りのあり方について提案することを試みた。