2004 年 32 巻 p. 91-100
長期的かつ不確実性を伴う政策立案においてシナリオ誘導型の研究が注目されている. 本研究では流域管理におけるシナリオ誘導型の政策立案の枠組みを構築するとともに, 有機物循環政策を対象として政策シミュレーションシステムの構築を行った. 具体的には政策導入による流域全体のマテリアルフローを把握するため産業連関表を援用したマテリアルバランス表, 及び循環施策ごとの処理領域の設定やその施設立地を検討するためにGISを用いた評価システムを構築した. さらに四つの代替的な有機物循環政策を設計し政策シミュレーションシステムを用いて評価を行った結果として複数の有機物循環施策を導入した場合の流域全体のマテリアルフローの変化を示し施策効果をコスト, 最終処分量.二酸化炭素排出量等の次元で算出することを可能にした.