抄録
本研究では, 水道管路の安全性を簡易に診断する手法として数量化理論第H類及び第I類を用い, 事故リスク評価モデル及び漏水リスク評価モデルを提案した. 前者の外的基準 (目的変数) は配水管修理件数の有無であり, 後者は漏水量の多少とした. また, モデルの説明変数として, 管路材質の差異, 外面被覆の有無, 地形分類といった要因を検討した. そして, 異なる2つの診断結果をどのように管路更新計画に活用すれば良いのかについて, 具体的な適用事例を示しながら論じた. この結果, 事故リスクに関して同一の診断結果であっても, 漏水リスクを考慮することで, 優先的に対処すべき箇所の決定を可能にする等, 更新計画を立案する上での有用性が明らかになった.