抄録
近年,デジタル撮像機器,大容量光学記録装置等の急速な小型化·高性能化に伴い,ナノレベルの形状精度·高品位表面を有する超精密光学素子の製造技術が重要視されている.超精密球面レンズの成形には,射出成形金型などにはステンレス鋼やNiコーティング金型が適用され,ガラスモールドを含む熱圧縮成形金型には超硬合金やセラミックスなどの金型材が求められ,これらの金型素材に対応した超精密加工技術(特に研削)が要求される.また一般に,より高い屈折率を得るためにはガラス転移点温度や硬度·粘性の高い成形材料が使用されることから,金型表面が受けるダメージは大きく,型寿命が懸念される.そこで本研究では,セラミックス製球面レンズ成形金型の超精密加工技術において,ELID(電解インプロセスドレッシング)研削を用いて高効率,高品位加工を試みたので報告する.