抄録
本研究の目的は,脳卒中後の高次脳機能障害者が就労継続に至るまでのプロセスを,
当事者の視点から明らかにすることである.3名に半構成的インタビューを実施し,質的
記述的に分析した.その結果,【発症前と変わっていないという自負】,【発症前との変化に
よる精神的負担】,【受け入れてくれた存在の大きさ】,【障害に配慮のない会社への苛立ち
】,【提供されたサービスへの不信感】,【会社の意向が変わらないことへの諦め】,【障害と付き
合いながらやる仕事】という7つの大カテゴリが生成された.今後は障害を理解する姿勢
を作れるような会社への働きかけや,障害の説明スキル向上に向けた当事者への支援が必
要となると考える.