2021 年 3 巻 1 号 p. 15-20
通所介護の個別作業療法 (OT) で,慢性腰痛によって日常生活が低下した症例に対し,認知行動療法 (CBT) 的アプローチが奏功した症例を経験したため報告する.症例は,70歳代の男性で,慢性腰痛によって基本動作やセルフケア,趣味活動が困難となり臥床傾向であったため,通所介護で個別OTが開始された.初期は,痛みに対する破局的思考が強くfear-avoidanceを呈していたが,OTによるCBT的アプローチにより基本動作が改善し,セルフケア拡大・趣味活動の復帰につながった.さらに,疼痛自体も減少し,介護区分が1段階改善した.これらより,介護保険制度下においてCBT的アプローチの有用性が示唆された.