2021 年 3 巻 1 号 p. 9-14
作業療法において,支援の対象者の価値は考慮すべき重要な要因である.一方で,人は不安が強い場合に,本来自分が価値を置きたい行動とは異なり,不安を回避するための行動を選択しがちである.本事例報告では,社交不安症患者に対する認知行動療法を用いた面接を実施した.その過程において,患者と価値について検討を行い,加えて,価値に沿った行動の実践を促したことにより社交不安症状が改善する結果となった.結果から,支援の対象となる者の価値を支える支援を目指すこと,また,そのことを実施するタイミングも重要であることが示唆された.