2021 年 3 巻 3 号 p. 65-73
本研究では,地域在住高齢者の痛みの破局的思考の重症度が,痛みの強度や情動,ADLに与える影響と,その重症度に影響を与える要因を検討した.対象は地域在住高齢者90名で,評価項目は,痛みの破局的思考尺度(PCS),痛みの強度・部位,不安・抑うつ,ADLを測定し,重度 PCS群と軽度 PCS群の2群で比較した.また,ロジスティック回帰分析によりPCSの重症度に影響を与える要因を検討した.結果,重度 PCS群は,痛みが有意に強く,不安や抑うつが強かった.また,ADLも有意に低下していた.この破局的思考の重症度に影響する要因は,運動時痛とADLの低下であることが示唆された.