現象学と社会科学
Online ISSN : 2434-1231
投稿論文
自閉スペクトラム症のある子どもと関わる特別支援学校教師の現象学
「世界」、「道具」、「気分」に着目して
呉 文慧
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2024 年 7 巻 1 号 p. 51-68

詳細
抄録
本研究の目的は、自閉スペクトラム症(Autism spectrum disorder:以下,「ASD」)のある子どもに関わる際に発揮された、西特別支援学校教師である酒井先生の〈身体〉に根差した知性とその背景としての世界を、ハイデガーの現象学に基づいて探究することであった。先行研究の整理においては、ASD のある子どもに対する教育に焦点を当てた現象学的研究群を概観し、「ASDのある子どもの現象学」、「ASDのある子どもとの関係の現象学」、そして「ASDのある子どもに関わる実践者の現象学」の類型化を得たのち、「ASDのある子どもに関わる実践者の現象学」の中でもハイデガーの現象学に依拠する意義を論じた。酒井先生の住み込んでいる世界を道具や気分に着目して解釈した結果、酒井先生がASDのある子どもと相互作用を起こして新しい実践を生み出すことを志向する世界に住み込んでいること、そしてASDのある生徒であるカナさんに対しては、道具を介して自らの視線の強度を弱めることで相互作用を成立させるような〈身体〉に根差した知性を発揮していたことが明らかになった。
著者関連情報
© 2024 本論文著者
前の記事 次の記事
feedback
Top