抄録
当院では介護予防事業の1つである運動器の機能向上プログラムに関する介護予防教室を実施し,地域在住の高齢者の健康増進を図っている。今回実施前後の身体機能の変化およびアンケート結果・実施内容から今後の課題について検討した。当院の介護予防教室は週1回3ヶ月を1クールとし,自主トレーニング,マシンエクササイズおよび講義から構成されている。本教室に参加した地域在住の特定高齢者27名(平均年齢75.4±5.3歳)を対象に,5 m快適歩行時間・5 m最大歩行時間・開眼片脚立位時間・Timed up and go test(以下TUG)・右手握力・Functional reach test(以下FRT)・左右膝伸展筋力を実施前後で測定し,更に終了時に自由記述式のアンケートを行った。その結果,5 m快適歩行時間・5 m最大歩行時間・TUG・右手握力・FRTにおいて実施後に有意な改善を認めた。アンケートの分析では,身体機能や活動の改善に加え,心理面の改善や運動継続の意欲の向上に関する記載があった。以上の結果より,当院での介入は身体機能面の有意な改善または改善傾向があったこと,精神・心理面も向上した可能性が考えられた。今後は参加者が主体で行う取り組みの必要性を含めて検討すべきと考えられた。