抄録
【目的】歩行中の上肢運動は,能動的に制御されることで安定化し,歩行効率性に寄与している。しかし,上肢運動の適切な目標変数は明らかでない。本研究は,歩行中の上肢運動が,いかなる目標変数を基に制御されているかを明らかにすることを目的としてUncontrolled manifold(UCM)解析を行った。【方法】タスク変数として水平・鉛直方向の手先位置と速度を設定し,タスク変数に影響を及ぼさない良い変動(以下VUCM),影響を及ぼす悪い変動(以下VORT)を求めた。【結果】手先位置をタスク変数とした場合は水平・鉛直方向ともに,1歩ごとの変動を抑えるような協調構造を有しなかった。手先速度をタスク変数とした場合は鉛直方向のみVUCM>VORTであり(p<0.01),変動を抑える協調構造が存在した。【考察】歩行中の上肢運動においては,手先位置と比較して手先速度が制御の重要な変数である可能性を示唆した。