抄録
【目的】長下肢装具における足継手の設定が歩行立脚期に与える運動学的・運動力学的な影響を明らかにすること。【方法】対象は健常者10名。長下肢装具の膝継手を屈曲0°に統一し,足継手の設定は①底屈遊動・背屈遊動,②底屈制動・背屈遊動,③底屈制限・背屈遊動,④底屈制限・背屈制限の4条件とし,三次元動作解析装置を用い装着下肢における歩行時の運動学的・運動力学的分析を行った。【結果】立脚期前半では設定①②と比較し設定③④で,床反力後方成分ピーク値,足関節底屈角度ピーク値の減少,足関節背屈モーメント持続時間,膝関節伸展モーメント持続時間の延長,膝関節伸展モーメントピーク値の増加,股関節伸展モーメントピーク値の減少がみられた。立脚期後半では設定①②③と比較し設定④で,床反力前方成分ピーク値,足関節背屈角度ピーク値の減少,股関節屈曲モーメントピークの早期発生がみられた。【結論】底屈方向の設定は立脚期前半に,背屈方向の設定は立脚期後半に影響を及ぼすことが明らかになった。