理学療法 - 臨床・研究・教育
Online ISSN : 1880-8948
Print ISSN : 1880-893X
ISSN-L : 1880-893X
研究と報告
施設利用高齢者の下肢荷重率(WBR)と歩行自立度との関係
木村 太祐
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 25 巻 1 号 p. 91-97

詳細
抄録

【目的】本研究の目的は,施設利用高齢者の施設利用における歩行の自立度と下肢荷重率(下肢Weight bearing ratio : WBR以下,下肢WBRと明記)の関係を明らかにすることである。【方法】対象は,介護老人保健施設を利用する高齢者80名とした。市販の体重計(タニタ社製 ヘルスメーターTHA - 528)を使用し,下肢WBRを計測した。その他の測定項目に,握力,膝伸展筋力,片脚立位時間,最大10 m歩行,Timed Up and Go test(TUG),Functional Reach test(FRT)を行った。歩行自立度の群間比較に,対応のない t 検定にて比較した。歩行自立度を従属変数,各運動機能測定項目を独立変数とした多重ロジスティック解析を実施した。【結果】下肢WBRは,施設内の歩行自立群と非自立群との間に有意な差を認めた。歩行自立度に対する影響因子として TUG(オッズ比1.38,95%信頼区間<1.146-1.660>,P<0.01)と下肢 WBR(立位)(オッズ比 0.84,95% 信頼区間,<0.753-0.93>,p<0.01)が抽出された。【結論】施設利用高齢者の施設利用における歩行自立度において,下肢 WBR は,これまでの観察による歩行の質的判断に対して定量的な参考指標の一助となり得る可能性があり質的・量的評価の併用の有用性が考えられた。

著者関連情報
© 2018 社団法人 埼玉県理学療法士会
前の記事 次の記事
feedback
Top