2019 年 26 巻 1 号 p. 42-47
【目的】歩行における前額面上の足部軌道は能動的かつ多関節協調をもって行われ歩行安定性を担保する。また,前額面における足部軌道制御の結果である歩隔は体幹運動の影響を受け変化する。本研究は上部体幹運動の拘束による足部軌道制御およびその多関節協調性への影響を明らかにすることを目的として実施した。【方法】三次元動作解析装置を用いて,上部体幹運動を拘束する条件と自由歩行条件において,足部軌道変化と軌道を制御する多関節協調性の変化をUncontrolled manifold(UCM)解析を用いて明らかにした。【結果】足部軌道と多関節協調性は両条件において変化を認めなかった。しかし,協調性を構成する全体的な変動性は上部体幹拘束によって上昇した。【考察】歩行における前額面上の足部軌道とその多関節協調性は身体的拘束による運動変動性増加によって変化しない頑健さを有する可能性を示唆した。