2019 年 26 巻 1 号 p. 59-62
脊柱の変形を伴う右変形性股関節症患者を担当する機会を得た。股関節に対する理学療法を3週間行ったが,歩行時の疼痛がNumerical Rating Scale(以下NRS)4と残存し難渋した。治療内容を再考してシュロス法の治療概念を用いた脊柱に対する理学療法を行い,歩行時の体幹動揺を制御させた結果,12週目で腰椎のコブ角が4°改善した。歩行時の動揺も減少し,14週にはNRS 0へ減少した。脊柱の変形を伴う股関節症患者において,脊柱のアライメントを修正することが股関節の負担軽減に繋がり,さらなる疼痛軽減に効果があることが示唆された。