2020 年 27 巻 1 号 p. 31-35
【はじめに】前十字靭帯を損傷させた後に脛骨前方不安定性を制動した場合,大腿直筋の筋萎縮関連因子の変化についてタンパク質・mRNA解析によって調査した。【方法】10週齢Wistar系雄性ラット(n=24)の前十字靭帯を断裂させることで惹起した脛骨の前方不安定性を制動した群,脛骨の前方不安定性が残存したSham群に分類した。術後4,8週(各群・週齢n=6)で大腿直筋を採取し,リアルタイムPCR法とウェスタンブロッド法でAtrogin-1ならびにMuRF-1について解析した。【結果】mRNAについてAtrogin-1とMuRF-1は統計学的有意差を認めなかった。タンパク質解析ではAtrogin-1(p=0.001)ならびにMuRF-1(p<0.001)において8週で有意に発現した。【結論】靭帯損傷後の早期の関節制動は大腿直筋の筋萎縮関連因子Atrogin-1ならびにMuRF-1を抑制した。