理学療法 - 臨床・研究・教育
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症例検討
胸鎖関節炎と拘縮肩を合併した一症例
村田 健児
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2020 年 27 巻 1 号 p. 77-80

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抄録

【目的】胸鎖関節炎は臨床で遭遇することが比較的まれな疾患である。治療として確立した指針はなく,特に理学療法に関する報告は渉猟できない。今回,胸鎖関節炎による運動時痛と拘縮肩を合併した症例の治療経過から理学療法介入の必要性や役割について報告する。【症例】48歳女性,左肩関節運動時痛,左前胸部安静時・運動時痛を主訴として,胸鎖関節炎と診断された。医学的処置による胸鎖関節部の疼痛コントロールと理学療法士による肩甲上腕関節可動域の改善を治療指針として3か月経過を調査した。【結果】介入後3か月で疼痛は軽減し,JOAスコアが40点から84点まで改善した。【結論】本症例のような胸鎖関節炎と拘縮肩の合併患者に対する理学療法士の役割として,直接的介入が困難な胸鎖関節は疼痛コントロールのため医師と連携し管理すること,二次的に生じた拘縮の改善を行うことで間接的な胸鎖関節の運動時痛を軽減させることが重要である。

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© 2020 社団法人 埼玉県理学療法士会
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