理学療法 - 臨床・研究・教育
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研究論文
右小開胸低侵襲心臓手術後の肩関節機能障害と術後早期からの肩関節可動域運動の効果
新井 健一
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2022 年 29 巻 1 号 p. 17-20

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抄録

【目的】右小開胸低侵襲心臓手術(MICS)術後患者を対象に術後早期から肩関節運動を行うことで術後の肩関節機能への影響を調査することである。【方法】対象は右小開胸MICSを施行し,術後理学療法を実施した患者36名。従来の理学療法実施群16名(従来群)と術後翌日から右肩ROM運動を実施した群20名(早期肩関節運動群)に分類した。調査項目は,肩関節屈曲・外転関節可動域(ROM)・握力・肩関節屈曲筋力の侵襲側・非侵襲側比,疼痛(NRS)とした。【結果】各項目の結果(従来群・早期肩関節運動群)は,肩屈曲ROM(中央値)は94.4・100%,外転ROMは88.2・100%,疼痛は3・0点と早期肩関節運動群の方が良好であった。【結論】右小開胸MICS術後に右肩関節の機能障害や疼痛を来すことがあるが,術後早期から肩関節の運動を行うことで予防できる可能性が示唆された。右小開胸MICS術後理学療法では,運動耐容能のみでなく,右上肢の機能にも留意する必要がある。

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© 2022 社団法人 埼玉県理学療法士会
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