関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 106
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床外乱刺激における水平と傾斜の可動方向の相違が立位バランス制御へ与える影響
星 文彦菊本 東陽鈴木 陽介伊藤 俊一藤本 鎮也浅岡 祐之
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抄録

【目的】
床の水平移動と傾斜による外乱刺激に対する姿勢応答として前脛骨筋、大腿四頭筋、腹直筋の反応時間を計測し、その外乱刺激の力学的相違(床水平移動と傾斜)による姿勢応答である筋反応時間と筋活動パターンへの影響を検討することと、姿勢応答に対する認知課題の影響も加えて検討することを目的とした。
【方法】
被験者は、健常男子15名、平均年齢25.7歳とした。課題は、静止立位保持およびそれに認知活動課題として100から7を順次引いてゆく計算課題の二課題とした。床外乱は、立位バランス解析装置「EQUITEST」(NEUROCOM社)を使用し、前後方向への水平移動および傾斜を予告なくランダムに刺激した。外乱刺激に対する筋電図反応時間の計測は、「基礎医学研究用システムLEG1000」(日本光電社)を使用した。筋活動は右側の前脛骨筋・大腿四頭筋・腹直筋から表面筋電図用電極はVitrode(日本光電社)を使用し導出した。床外乱刺激と筋電図は、可動する床面に3次元加速度センサー(クロスボー社)を改良し(イリスコ社支援)固定し同期した。本研究は、本大学倫理委員会の承認の下(承認番号22052)、各被験者には研究の詳細を口頭で説明し書面にて同意を得た。
【結果】
水平外乱刺激と傾斜外乱刺激による筋活動パターンは遠位から近位へという順序を示し、前脛骨筋反応時間の潜時は、水平外乱刺激の方が傾斜外乱刺激よりも明らかに短かった。認知課題による差は認められなかった。
【考察とまとめ】
外乱刺激の相違による反応時間の差から、傾斜刺激による姿勢応答は足関節筋群への直接的な応答ではなく、身体全体が後方へ傾斜するまでの時間が加味されたもので、傾斜外乱刺激の入力は足部の体性感覚系ではなく前庭感覚系や視覚系などによる可能性が示唆された。

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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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