関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 107
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側方への動的座位バランスにおける座圧中心の移動量と関節運動の関係
藤本 修平山口 智史藤本 静香大高 洋平(MD)
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抄録

【目的】
動的座位バランスは,側方へ重心移動を行わせ,バランス反応で観察される関節運動などを評価する.しかし,臨床では主観的に関節運動を観察するため,客観的に検討されていない.本研究では,側方への動的座位バランスによる最大座圧移動時の関節運動の組み合わせを検討した.
【方法】
対象は健常者48名(男性29名,女性19名,平均年齢21.0±2.3歳)とした.ヘルシンキ宣言に基づき,対象には研究内容を十分に説明後,同意を得た.座位姿勢は,足底非接地,腕組みした状態の端座位とした.動的バランス課題は,最大限右側へ体重を移動するように指示した.バランス課題中の関節運動を評価するため,4台のデジタルカメラ(EXILIMfc-100)を用いて撮影した.対象には,左右の肩峰,上前腸骨棘,上後腸骨棘,大転子,膝蓋骨,大腿骨外側上顆,外果,剣状突起,第7頚椎,第12胸椎,第5腰椎に半径2cmのマーカーを貼付した.動画データの解析は,静止画に変換し,3次元動作解析システムToyBoxWG101を用いて各骨指標の座標を求め,得られた座標から関節角度を算出した.課題開始前と最大座圧移動時の関節角度の差を算出し,各関節の関節運動とした.さらに撮影後に,関節角度計を用いて,安静時の体幹・股関節の関節可動域(ROM)を測定した.また最大座圧移動量は,圧力分布システム(BIG-MAT,ニッタ株式会社)にて計測し.座圧中心のY座標が最も動いた距離を計算し,両大転子間の距離で除した値をとした.統計解析は,因子分析(バリマックス回転)で項目を群分けし,群分けした因子から対象の因子得点という新しい変数を作成した.この因子得点を独立変数,座圧移動量を従属変数として重回帰分析(ステップワイズ法)を行った.有意水準は5%とした.
【結果】
因子分析により,第1因子は体幹前後傾,左股関節屈伸,左股関節内外転,右股関節内外旋,右膝関節屈伸の関節運動項目(寄与率15.1%)であった.第2因子は体幹・股関節のROM項目(寄与率10.7%)であった.第3因子は右股関節内外転(寄与率9.3%),第4因子は体幹回旋に関わる項目(寄与率7.4%)であった.重回帰分析の結果,第1因子と第3因子が選択された(p<0.05).
【考察】
右方への動的座位バランス時の最大座圧移動量には,体幹後傾,左股関節屈曲と外転,右股関節外旋,右膝関節屈曲といった関節運動の組み合わせおよび右股関節内転の程度が影響していた.これらの関節運動は,座位バランスに重要な要素であり,動作観察の重要なポイントだと考えられた.
【まとめ】
今回,ビデオ動画を用いた動作分析と座圧移動量の計測により,客観的に動的座位バランスを検討した.今後,高齢者や疾患別による相違を検討したい.

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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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