関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 112
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急性期脳卒中片麻痺患者の体幹機能からADLの予後を知る―脳卒中機能障害評価セット(SIAS)の体幹項目とBarthel index(BI)との関連より―
山本 学小林 英郎
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抄録

【目的】
近年,体幹機能の重要性が指摘され,歩行との関係などが報告されている.脳卒中患者の日常生活活動(以下ADL)は,動作能力や高次脳機能障害など多くの因子が影響を与える.体幹機能がADLに及ぼす影響も指摘されているが,ADLとの関係を詳細に検証した報告は少ない.そこで今回,リハビリテーションプログラムの検討,効果判定を行う手段として,体幹機能評価であるSIAS体幹項目に着目し,体幹機能評価がADLの予後を知る上で有用な評価か否かを検証した.その結果を受け,ADLの予後予測の指標として活用できるかを検討した.
【方法】
対象は,2011年6月から12月に当院に入院した脳卒中片麻痺患者202例(クモ膜下出血23例,脳出血52例,脳梗塞127例),男性128名,女性74名,平均年齢65.8±12.7歳,平均在院日数24±12日であった.目的変数をBarthel index(以下BI),説明変数を体幹機能はStroke Impairment Assessment Set(以下SIAS)体幹項目,片麻痺機能はBrunnstrom stage(以下BS)上下肢項目とし,重回帰分析を用いて検証した.本研究にあたっては,当院の倫理規定に従って対象者に十分な説明を行い,同意を得た上で行った.
【結果】
検証モデル全体として有意であることが示され(R=0.68~0.80), BIとSIAS体幹項目で有意な相関が得られた(P<0.05).SIAS体幹項目とBIの項目別では,垂直性は食事,排便,整容,トイレ,腹筋力は排便,移乗,トイレ,更衣,移動において有意な相関を認めた.
【考察】
SIAS体幹項目は,BSよりBIとの関連が強いことが示され,SIAS体幹項目は,ADL予後を知る一つの評価項目として有用であることが示唆された.項目別にみた場合では,垂直性では坐位で行うADL,腹筋力では車椅子,歩行といった移動手段を用いたADLとして,実用的なADLの予後を知る手掛かりになると考える.
【まとめ】
本研究より,体幹機能評価はADL訓練,回復を積極的にすすめるためのリハビリテーションプログラムの検討,効果判定に活用できると考えている.当院では現在,体幹機能評価,訓練を早期より行い,ADLの予後予測として活用している.今後評価時期を細分化し,時期別での予後との関連を明らかにすることにより,在宅復帰などの転帰までも予測できるものと考えている.

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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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