関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 142
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365日リハビリテーション体制を導入しての効果-高齢者・重症者の受け入れの多い当院での検討-
中垣 亮片寄 純一松尾 佳代子田中 智香吉川 雄太佐藤 弘子田畑 絵美加藤 譲司清水 康裕
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抄録

【目的】
当院は100床の回復期リハビリテーション病棟(以下回復期病棟)を有しており,入院患者の多くは高齢者である.当院では平成22年6月16日より365日リハビリテーション体制(以下365日体制)を導入した.そこで地域の回復期病棟で高齢者・重症者の多い当院でも365日体制を導入することでリハビリテーション(以下リハ)効果の向上が見られるか,365日体制導入前後での効果を比較検討した.
【方法】
対象は365日体制リハを受けた患者(以下365日群)284名と,週5日のリハ提供を受けた患者(以下Pre群)279名とした.調査期間は365日体制導入前後1年間とした.なお,状態悪化によるリハ中止者,死亡退院者,データ欠損者は除外した.両群で年齢,疾患別区分,入退棟時Functional Independence Measure(以下FIM),在棟日数,在宅復帰率,FIM利得,FIM効率,平均単位数について後方視的調査および比較を行った.統計処理はt-検定,Mann-Whitney検定,カイ二乗検定を用い,有意水準は5%とした.なお当院における倫理委員会規定に基づき調査,研究を行った.
【結果】
365日群/Pre群は,年齢81.7±9.5/80.9±10.8,疾患別区分は脳血管:78/112,運動器:103/104,廃用:103/63,入棟時FIM53.2±24.9/55.6±29.5,退棟時FIM75.9±30.4/76.1±34.3,在棟日数74.3±37.6/78.5±40.0,在宅復帰率76.1/74.5,FIM利得22.7±17.4/20.6±17.9,FIM効率0.36±0.33/0.31±0.31,平均単位数4.6±1.4/3.7±1.2であった.統計の結果,365日群ではFIM利得,FIM効率は有意に向上し,平均単位数は有意に増加していた.在棟日数や在宅復帰率には有意差は見られなかった.
【考察】
今回,365日群でFIM利得,FIM効率,平均単位数が有意に向上していた.365日体制を導入することで高齢者においても能力向上がみられ,リハ効果が向上することが示唆された.高齢者においても若年者と同様に連続的・集中的なリハ提供によって,能力向上しやすいのではないかと考えられる.また,統計的有意差はないものの,在棟日数の短縮や在宅復帰率の向上が見られた.在棟日数や在宅復帰率に変化が少なかった要因としては地域柄の影響もあり,マンパワーが不足しており老老介護が多いことや,寒冷地域のため,冬季は在宅復帰しにくくなるといった,能力向上だけでは解決困難な地域性が関与していると考えられる.
【まとめ】
今回の研究では平均年齢が高く高齢者が多い当院でも365日体制導入でのリハ効果の向上があるか検討した.その結果,365日群でFIM利得,FIM効率,平均単位数において平均値の上昇と有意差が見られた.365日体制導入は高齢者においても能力向上を促進する可能性が示唆された.

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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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