抄録
【目的】
当センターは造血器腫瘍患者に対して、廃用症候群・ADLの維持・予防・改善のため、従来型の個別療法を実施する場合(以下個別療法群)に加えて、骨髄抑制期等で活動制限となる時期でもベッド上や病室内で可能な自主トレーニングの指導を開始した(以下自主トレ群)。造血器腫瘍患者の理学療法の報告は、造血幹細胞移植前後の場合が多く、化学療法中の特に高齢造血器腫瘍患者の検討はまだ少ない。そこで今回は個別療法群と自主トレ群の特徴を示すことを目的に報告する。
【方法】
2011年4月~2012年3月までに理学療法処方された化学療法中の入院造血器腫瘍患者24名(男性10名、女性14名)。年齢の中央値70歳。診断名は白血病9名(骨髄異形成症候群含む)、多発性骨髄腫6名、悪性リンパ腫9名。個別療法群は13名、自主トレ群は11名。転帰は自宅18名、死亡2名、転院4名。調査項目は、①PT開始時と終了時のECOGのPerformance Status(以下PS)、②入院日からPT処方までの日数、③実施単位数、④PT処方日の直近の白血球、血小板、ヘモグロビン、アルブミンを調べ、さらに有害事象共通用語規準v4.0日本語訳JCOG版でGrade化した。2群間の差をするために、年齢は2標本t検定を、それ以外の項目はMann-Whitneyの検定を実施。PSの変化を開始時と終了時でWilcoxonの符号付順位検定を実施した。研究はヘルシンキ宣言、厚生労働省の「臨床研究に関する指針」に従った。
【結果】
PT処方までの日数は中央値12日。実施単位数は中央値13単位(3~104)。有害事象は白血球減少が54%(自主トレ群72%,個別療法群38%)。血小板減少が33%(55%,15%)、貧血は79%(82%,77%)、低栄養は88%(72%,100%)。全体では貧血と低栄養を示す例が多かった。2群間で有意な差を認めたのは、年齢(個別療法群:73歳vs自主トレ群:65歳、p<0.05)、アルブミン(2.5vs3.6、p<0.01)、実施単位数(29単位vs6単位)、開始時PS(4vs2)・終了時PS(2vs1)であった。PSは開始時より終了時で有意に改善していた(p<0.01)。
【考察】
個別療法群は年齢70歳代、PS不良、低栄養で、ADL障害を認める例が多く、ADLや基本動作指導の時間をかけた理学療法が必要であった。自主トレ群は年齢60歳代、PS良好、白血球減少例が多く病室内に活動制限され、廃用症候群の予防の理学療法の提供が必要であった。今後はプログラム選択時の評価指標の検討を行いたい。