関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-149 パーキンソン病を有する高齢症例におけるグラウンドゴルフの成績向上の検討
橋立博幸澤田圭祐笹本憲男
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p. 149-

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抄録

【目的】本研究は、パーキンソン病を有した地域在住高齢者の事例の経過をとおして、社会参加として開始したグラウンドゴルフの成績向上について検討することを目的とした。なお、本研究は、対象者と家族に本研究の主旨を説明し同意を得て実施した。

【症例】73 歳、男性、在宅生活中の平成18 年にパーキンソン病の診断を受け、抗パーキンソン剤内服治療を行い、要支援2 にて平成23 年8 月から通所介護 (週2 回),平成24 年8 月から訪問リハ (週1 回) を実施した。その後、生活機能が改善し、平成25 年11 月から自宅近隣の公園での自治会主催のグラウンドゴルフ (週2 回) へ参加し始めた。グラウンドゴルフは、各コースにおいてクラブでボールを打ってホールポストへホールインするまでの最小打数を競う競技であり、本症例が参加したグラウンドゴルフでは全長約10m 程度の8 種のコースを3 ラウンド実施し、その合計のスコアが少ないほど良い成績となる。グラウンドゴルフ開始時の本症例は、Yahr の分類II、基本的ADL 自立、レッグプレスマシン1 回最大挙上量 (1RM) 78kg、timed up & go test (TUG) 9.9 秒、グラウンドゴルフのスコアは75

であった。

【経過】平成25 年12 月から平成26 年11 月までの1 年間 (A 期) で合計45 回、平成26 年12 月から平成27 年

11 月までの1 年間 (B 期) で合計72 回のグラウンドゴルフに参加した結果、各期の平均スコアはA 期73.3±6.1 からB 期71.2±6.4 と有意に向上し、各期の最高スコアもA 期59 からB 期52 と向上した。また、3 か月ごとに追跡した1RM とTUG を比較した結果、B 期 (1RM 109.0±15.1kg、TUG 8.2±0.5 秒) はA 期 (1RM 83.0±8.9kg、TUG

10.4±0.7 秒) と比べて有意な向上を示した。

【考察】診断後7 年経過したパーキンソン病者においても、通所介護および訪問リハの利用とグランドゴルフの参加を継続することにより、下肢筋力および歩行能力とともにグラウンドゴルフの成績向上が得られる可能性があることが示唆された。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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